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ひとりぽっちのおうさまはたいように恋をしたということです。
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放課後。
皆追々に、帰る用意をして友達と共に談笑しながら帰っていく中、咲園学園初等部6年聖 尊は窓際の自分の席で帰る用意をしていた。
学園指定のカバンに教科書やらノートやらを詰めていく。
ごく普通の、帰りの風景。
尊が国語のノートを押し込んだ時、右の人差し指に痛みが走った。
「痛ッ……?!」
急いで指を引っ込めると、指の腹がぱっくりと裂けて血の玉が浮いていた。
黒いランドセルに詰められた教科書の中、理科の教科書に何か銀色のものが挟まっている。
「ん〜あ?どしたのぉー、聖」
「あ、う、うんんっ?!なんでもないよっ?」
聞きつけて近寄ってきたクラスメイトから右手を隠し、尊は笑顔で左手を振った。
「そお?」
離れていくクラスメイトを見送って、尊は体操服を手に取った。
布で出来た体操服の袋は、水を吸ってありえないくらい重かった。
黒っぽい水が、袋から滴り落ちる。
「っ……!!」
乱雑にカバンに体操服を押し込んで、尊は階段を駆け下りた。
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外はいつの間にか雨が降っていて、色とりどりの傘が楽しげに駆けていく。
尊は一息もつかず階段を下り、そのまま靴箱に向かっていた。
靴箱には行儀よく白いルームシューズが並んでいて、一番上の段、右から二つ目にだけ赤地に白のストライプの、新しかったスニーカーが入っていた。
新しかったスニーカー。
汚れたスニーカー。
泥まみれの、スニーカー。
その白だった模様は茶色く変色し、目を見張るほど赤かった地は今では黒ずんだ海老茶色だ。
スニーカーを取り出して突っ掛け、傘を取りに傘立てに向かう。
「あ………」
傘立てにはグシャグシャになったコウモリ傘が一本だけ、入っていた。
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アンタなんか要らないよ。
死んじゃえば?
ウザイんだよ、消えろ、消えちまえ。
生まれてくんなよ。
死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね!
……………。
「………ッ!!」